私はこの誘拐されていたという話を全く知らなかったのでどうしたことかと驚いてよく読んでみると、この誘拐事件については New York Times 等マスメディアの間での報道協定により、報道が自粛されていた模様だ。
しかし同じ New York Times の別の記事 Keeping News of Kidnapping Off Wikipedia を読んでさらに驚いた。この記事によれば、Rohde 記者誘拐事件について Wikipedia 上でも何度かユーザによる編集として書き込まれたことがあったが、いずれも報道協定によって削除されてきたのだと言う。削除は Jimmy Wales と Wikipedia 管理者達、そしてイギリスの The Times 紙との協力によって行われた、とこの記事では述べている。New York Times の公式スポークスマンから Jimbo に対して直接報道協定の申し入れがあった模様である。
記事中で Jimbo が述べているところによれば、この誘拐事件については他のマスメディアが沈黙していたことから、「信頼できるソースが無い」ということを削除理由として処理されていた様子だ。確かに管理者としても扱いやすい状況だったと言うことだろう。
それでも記事中には管理人とユーザとのやり取りがヒートアップしていく様子が描かれており、興味深い。誘拐事件についての記述に固執するユーザもいたようで、先週 Rohde 記者脱出の報が世界を駆け巡ると、管理人に「ほら見ろ、削除は間違いだったじゃないか」との罵声が管理者に浴びせられたそうだ。Wikipedia 管理者というのも同情されてしかるべき立場かと思う。
この事件は、Web2.0的な市民ジャーナリズムと検閲との関係がなかなか一筋縄ではいかないということを改めて思い起こさせるものだと言える。CGM への報道協定の適用は、いったい誰がどのように判断してどう適用すべきなのだろうか。マスメディアはいずれ滅亡するがその後は現在のマスメディアが負っている責任をユーザ1人1人が負わねばならなくなる とは ultraviolet の指摘だが、そのような社会の到来は意外と早いのかもしれない。
参考: 「報道協定」についての Wikipedia 日本語版エントリ

April 13th, 2010 at 13:59
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