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コンテンツ格差

written by ultraviolet on

ある権利者側の人間の呟き2  結局コンテンツに金払うっていうのが定着しない っつう嘆きの声がある一方で、モンティ・パイソンは公式YouTubeチャンネルを開設してDVDの売り上げが23000%増えた! なんてやたらと景気の良い話もある。どうも格差社会が進行中なのは正社員vs派遣社員じゃないらしいですよ。しかしなんでそんな格差が生じちょるのかね?
いろんな理由はあると思うんだけど、ここでは敢えて極論を書いてみたい。金を稼げるコンテンツなんてものが元来ごく一握りしか無くて、今まではそれが水増しされてただけなのよ てのはどうだ。

いやすまん。今日はほとんど根拠無く思いつきで書いてる。やー実は結婚の準備ですげー忙しくてさー。今週は招待状の宛名書きとかドレスの試着とかに追われるのよ。ポストのクオリティが下がっても許して。

閑話休題。無料で試聴できた方がCDの売り上げが良くなる、という話は前から言われてて、そういう研究結果もわんさかある。でも実際音楽市場全体の売上が下がってるっつう現実もある。この一見矛盾する状態を綺麗に説明するにはどうしたらええんぢゃろ、と考えてみた結果、こういう仮説が頭にひらめいたわけだ。

  • 本当に金を稼げるコンテンツは、無料で試聴などできれば売り上げが上がる
  • そうでないコンテンツは、無料で試聴とかできると逆に売上が下がる
  • 今の市場に溢れているのは、後者のコンテンツが大半

いや、これが絶対正しいと言うつもりは無いよ。ただ、こう仮定するといろんな話を矛盾無く説明できるんぢゃがのう、という話。

もしこの仮説が正しいとすると、それはこういうことだと解釈できるんでないか。
もともと金を稼げるコンテンツなんてものはかなり限定されてた。ほとんどのコンテンツは、微々たるぐらいしか金を稼げない程度のものだった。ところが近代になりメディア産業が興隆するに及んで、本来金を稼げないコンテンツでもいろいろ策を講じて売りつけることで結構無理やり市場というものが作られてきた。著作権で囲い込むとか。そうやって適正水準を超えて売れる状態が人為的に作られ、多数の(本来なら金を稼げないはずの)クリエイターや権利者を養えるようになり、多数の雇用が創出された。
ところがディジタルな複製が簡単に作られてバラ撒かれる時代となり、その囲い込みが解け、市場が適正水準に戻りつつある。一部のコンテンツは逆に売上が増えるけど、全体として水増しされた雇用も元に戻るので、これから大量の失業者も出るぢゃろう。こりゃコンテンツ立国なんてのも厳しいんでないか。
とかそういう。

逆に、この解釈部分で現実に照らしておかしい部分があれば、最初に書いた仮説も信憑性が下がるという話になるかと。どうぢゃろ。とりあえずはやっぱ「実際に海賊版で被害を受けてる朕のコンテンツはダメコンテンツと申すか!」的な怒りの反論が来ますかね?

まあ確かにコンテンツの質だけが全てっつうわけでもないとは私も思います(弱気)。例えば Monty Python が 23000% も伸びた話について言えば、Monty Python というコンテンツが本当に素晴らしい質だというのももちろんだけど、1スケッチ分だけを見てもその面白さが理解でき、かつ DVD で1エピソード通して見るとスケッチ間の連携により全体の面白さがさらに際立つ、っつー頭のいい構成にも原因があろうな。まさに21世紀のYouTube 時代を見越したかのようなコンテンツ。時代に合ってる/合ってないてのはあるかもなー。


3 Responses to “コンテンツ格差”

  1. comment from t2enonu

    パイソンと聞いて飛んできました。はじめまして。
    『モンティ・パイソン正伝』の編集をした者です。

    モンティ・パイソンがなぜ自分たちのコンテンツを無料公開できるかというと、

    1●著作権・原盤権はもちろん、あらゆる権利を自分たちで管理している。
      文字通り「All Rights Reserved」なので、他の権利者にお伺いを立てる必要がない。
    2●彼らは40年間にわたって、ファンが*勝手に*自分たちの作品をあらゆる媒体にコピーしてくれることが
      新しい世代のファンを増やし続ける(そして、オリジナルに金を払いたくなる)
      もっとも効果的な方法だということを観察し続け、熟知し尽くしている。

    からなのです。
    YouTubeのパイソンチャンネルにしても、アカウント取得日を見ると
    彼らが*本当に*3年間ファンの勝手なアップロードを黙認し続けていたことがわかります。
    勝手にやらせておくのが一番得だ、ということです。
    そして、iTunes Storeやamazonで商品を売る準備が万端整ったタイミングで
    パイソンチャンネルを「開設」。まったく隙がありません。

    で、仮にコンテンツの質=面白いか/面白くないかの話を全部脇に置いても、
    今「コンテンツビジネス」を口にする人の中に

    1●すべての権利を自分たちで持つための具体的で面倒な処理をやりとげ、
      必要とあればテレビ局との裁判も辞さない(そして、当然勝つ)覚悟
    2●自分たちのコンテンツをユーザーがどう*扱いたがる*か、を
      40年=2世代にわたって観察・調査し続ける地道な努力

    が、どれくらいあるんですか? とパイソンは逆に問いかけているんですね。
    その結果が「23000%の売上増」なんですよ、と。

    で、もちろんこれだけの実績を上げてしまえば、
    「実際に海賊版で被害を受けてる朕のコンテンツはダメコンテンツと申すか!」
    なんて言ってくる人には、心の底からの哀れみを持って

    「だってあなた、努力してないでしょ」

    と、アドバイスしてあげるほかありません。心から。

    「コンテンツの質」という視点から見たパイソンの話(方法論)については、またあらためて。

  2. comment from ultraviolet

    おおお、ありがとうございます。
    このコメントに感銘を受けたので、Tumblr に reblog してしまいました。多分ここより大勢の人に読んでいただけるかと。

  3. comment from t2enonu

    ご結婚おめでとうございます。
    素早いレスをいただきましたので、「コンテンツの質」にかかわる話をひとつだけ。

    『空飛ぶモンティ・パイソン』は1シリーズ13話(第4シリーズは6話)セットになってますが、
    『モンティ・パイソン正伝』の中に、「一度に7話分の構成を考えていた」という証言があります。
    パイソンの番組の作り方は

    1●まずはいろいろなスケッチを書いて、その場で演じてウケるかどうか評価する。
    2●スケッチとスケッチのリンク(つながり)を考えて、順番に並べる。
    3●ロケパートとスタジオパートを撮影して、リンクを埋める作業をギリアムに丸投げする。
    4●他のメンバーに対するあらゆる呪詛を吐きながら、ギリアムがひとりでアニメパートを作る。

    だったそうです。

    さて、「一度に7話分の構成を考える」とはどういうことかというと、

    2●スケッチとスケッチのリンクを考えて、順番に並べる。

    の「リンク」の数が7倍になるんですね。
    1回の番組に11本のスケッチが入る(=リンクが10か所)と少なめに仮定しても、
    1回分だけ作るのなら10か所のリンクを考えれば済むところ、
    わざわざ70か所を同時に検討する。「70か所のベストな組み合わせ」を考えるわけですね。
    そりゃあ個々のスケッチの面白さに加え、リンクの精度
    (どのスケッチとスケッチの組み合わせがもっとも面白くなるか)も上がろうというもんです。

    さらに、7本分の台本が一度にできてくれば、ロケの効率が格段によくなります。
    「海」や「森」などのシーンをまとめて撮れるからです。衣装もまとめて作れるし、
    キャスト+スタッフの移動にかかる費用も大幅に削減できます。
    制作の目からは、「1回分ずつ7本作る」のと「7本を一度に作る」のは天と地ほどの差があります。
    同じ予算でやれることの自由度が、全然違います。

    ……というような話が、今コンテンツビジネスをやっている人たちの参考になるといいんですけど。
    どうでしょうね?

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