なんか日本では WordPress は Blog に特化していて、MovableType は総合的な CMS を目指してる
みたいな感じで認識されてるみたいな感じが、たとえば WPかMTかって、性能の問題だけなんだろうか? あたりを見てるとどうもあるっぽいんですが、2005年に WordPress 1.5 で Rauru Blog を動かし始めてそろそろ4年になる私の感覚はかなり違います。
WordPress こそ、本当に blog なのかすらわからん得体の知れない超あやしいものになってしまったぜよ。MovableType とはまた別のベクトルを向いた総合 CMS を志向してる。
私の捉える WordPress の特徴を一言で言うと、野放図と言っていいほどの plugin 拡張性です。
日本ではそれがあまり理解されてないようで、どっちかつうと 初心者でもインストールしてテーマを入れれば簡単に使える blog ソフトウェア
みたいに捉えられてますが、それは一面しか見てませんな。plugin の無い WordPress など、メモリの足りない Windows Vista PC のようなもの。
plugin 拡張性がワイルドなのは、MovableType と違って最初から静的生成を切り捨てて動的生成のみのサポートに絞っていたことに起因してると思われます。多くの plugin は、ユーザがアクセスしてきた時点で動き、ダイナミックなレスポンスを生成することができます。SQL のクエリを書き換えることまでできる。これが セキュリティホールの温床 になっていることは前にも書きましたけど、まあ何だってできてしまうわな。静的生成か動的生成かの違いは、単にポスト時の再構築時間の問題ではなく、 plugin によって何を機能拡張できるかに大きく関わってくるんですよ。
あと、plugin まで行かなくても、theme だけでも結構な機能追加ができます。これは WordPress の theme ってやつが単なるテンプレートじゃなくて PHP のコードが直書きされてるれっきとした実行ファイルであることに拠ります。
本当はこれもかなり危険なんですけどね… みんなさー、無料 WordPress テーマ集とかいうエントリがよくはてブで hotentry 入りするけど、そういう出所の不確かな無料 WordPress テーマに潜む危険性ってちゃんと認識してる? MovableType のテンプレートと違って WordPress のテーマにはサーバに感染するマルウェアを仕込ませることができるんだよ? まあそれぐらい何でもできるってことで。
また WordPress は、かなり初期から、Blog の書き手だけでなく読者まで会員としてデータベースに登録することを想定して作られてます。メンバ権限として subscriber てのが昔からあったよね。おそらく、会員登録した人だけコメント可、とかいう使われ方が想定されてたんだとは思いますが、コミュニティサイトとしての性格も備えていた様子。
そんな風なので、theme と plugin を組み合わせることで単なる blog の枠を超えて使われてる例が海外では結構あります。
CNet News がニュースサイト全体の CMS として WordPress を使ってることは有名ぢゃな。これは、Automattic を立ち上げる前の Matt Mullenweg が CNet でサイト構築担当として働いてたためです。
その他の用途としては、WordPress Publisher Blog が詳しい。WordPress の原型を留めてないようなサイトを多数紹介してます。雑誌サイトだったり(たいてい Magazine テーマを使う)、通販サイトだったり、Q&A投稿サイトだったり、自治体の地域情報提供サイトだったり。
あと Twitter みたいな microblogging を WordPress 上で実現する Prologue もあって、わざわざ WordPress 上でやる意味があるんかいと思わんでもないけど、コミュニティサイトの一貫としてデータベース連携があるとひょっとしたら便利なのかもしれん。そうそう、その手の会員データの共有てのもいろいろあって、例えば MediaWiki とかの会員データを WordPress のと同期させる とか。掲示板だと bbPress てのもあるし。
なんですが、そういう機能拡張を、GPL なフリーソフトウェアとして大勢の人が勝手に作ってて、全体としてまとまりが無い、てのが WordPress のもう一つの特徴かと。MovableType なら Six Apart が明確な方向性を打ち出しててそれに沿った拡張がリリースされるわけですが、WordPress はそういう統制が皆無なんです。膨大な数の plugin があるにはあるものの、玉石混交だし、お互いコンフリクトすることも多く、うまく使うための情報もあちこちに散らばってるので、特に日本人にしてみると全貌がさっぱりわからん、てことになりましょう。あと コードがすごく汚い し。
この辺は Matt が WordPress の方針として明言してます。WordPress のコアは極力シンプルなものだけを用意し、それを超える機能拡張はフリーソフトウェアコミュニティに任せる、と。
なんで、冒頭の記事にあった 不思議なのは、挑戦しているのが商用ソフトでもあるMTで、オープンソースのWPではないという点です
てのは私の感覚とかなり違う。おそらく、新しいところに挑戦してるてことなら WordPress の方が多い。ただそれは、コア開発メンバではなく、フリーソフトウェアコミュニティとして開発が進められてる。WordPress がシェアで MovableType を追い抜いた最大の要因は、そういった開発コミュニティに強くアピールしたからでしょう。4年前のライセンス問題という Six Apart 側の失点もあったし、初心者PHPプログラマでも強力なpluginをできるようなアーキテクチャ(その分セキュリティが犠牲になっている)も大きかったと思う。その辺が、日本ではまだ理解されてないなとは思います。私だってほんの一部しか把握できてないもんな。とりあえずはよ BuddyPress 動かさんと。
ビジネスとして見た場合に WordPress ってどうなんぢゃろうねと思うことはあります。Automattic は去年までに 相当な出資を集めた けど、今年はサブプライム問題のあおりを食って厳しいんじゃないかなー。Automattic が何で稼ぐのか って、未だによくわかってない。その点、Six Apart はビジネスとして考えてるっぽく見えますな。そうやって考えたライセンスがユーザに嫌われたりもするけど。

