または、「なぜ1日の最高気温は正午じゃなくて14時頃になるのか」という話を、自然科学の立場から解説してみよう。
梅雨さえ考えなければ1年で一番日射量が多いのは夏至の頃で、1日で一番なのは正午です。でも1年のうち一番暑いのも、1日のうち一番暑いのも、夏至/正午から遅れます。これは何故か。つうのが今日のテーマ。
私が子供の頃は「暖まるのに時間がかかるから」と教わりました。なんか納得できるようなできないような、変な感じではありました。確かに間違ってはいないんだけど、まあこれだけで納得できる人は少ないと思います。
高校で数IIIをやったことのある人だと、次のような説明で直感的には納得してもらえるんじゃないかと思います。sinθを積分すると-cosθになって位相がπ/2だけ遅れるでしょ。あんな感じ。日射量てのは熱が降り注いでくる変化量みたいなもんで、それを積分すると温度になるようなまあなんかそんな感じなんですよ。日射量の変化はsinθ形をしてるので、積分すると遅れる。遅れが4分の1周期より短いのは、放熱という形での漏れがあるから。電気のフェイザー表示を使うともっとわかり易いんだが。
こっからは、積分とかいう難しい言葉を使わずに、もっと丁寧に説明してみませう。鍋をガスコンロにかけたところを考えてみてください。下からはガスコンロで加熱されます。一方熱い鍋からは湯気が立ち上って熱が逃げて行きます。この二つが釣り合ってると、鍋の温度は一定のままです。コンロの火力を上げると、加熱の方が勝つので、逃げてく熱より溜まる熱の方が多くなって、鍋の温度が上がります。
地球の気温もこれと似たような形になります。超大規模な鍋なんですね。太陽からは日光という形で熱が降り注いできます。ガスコンロみたいなもんだと思ってください。一方放熱という形で宇宙に逃げていく熱もあります。
一日の中の正午とか、一年の中の夏至とかは、この日光コンロの加熱出力が最大の状態だと考えてください。どんどん熱が溜まっていく状態なわけですね。ところが、正午を過ぎても、あるいは夏至を過ぎても、日光コンロによる加熱量は徐々に下がり始めますが、まだ放熱量よりは多いままです。加熱量が放熱量より多い間は、温度は上がり続けるんです。そして、1日の中だと14時頃、1年の間だと8月頃、ようやく加熱量と放熱量が同じぐらいになります。そうすると温度が上がるのは止まり、下がり始めることになります。加熱量が放熱量とバランスするまでの間の分だけ、最高気温到達が遅れると言うか、暑くなり続けるわけです。
ちなみに、日光コンロの出力は夜の間はずっとゼロです。夜だから当然だよな。昼の間の日光コンロの出力はだいたいsinθで近似できるんですが、夜の間はゼロのまま。なので夜の間はずっと放熱量が加熱量を上回り続けるので、夜の間はずっと温度が下がり続けます。夜明け前が一番寒いというのはそういうわけです。
ただしまあ、一日の気温は割とこんな風に単純に表せるんですが、一年の気温だとこれに加えていろんな気団の動き(オホーツク海気団が南下してくるとかうんたら)も絡んでくるんで、もっと複雑になります。梅雨とかもあるしな。
蛇足ですが、以上の定性的説明を定量的にもわかりやすくするために気温の理論値を示したグラフがあると良いだろとか思って、「加熱量はsinθに比例、放熱量は気温の絶対温度に比例」という近似条件で Excel にグラフ書かせてみたんですが、どうパラメタをいじってみても全然14時頃にピークが来ないので、困った挙句にやめました。絶対温度に比例っつう近似条件が間違っとるんだと思うけど、どう近似すればいいのかわがらねえ。誰か綺麗なグラフ描けたら教えて。


June 22nd, 2008 at 16:04
良くわからないけど、単位面積あたりの日射量が問題かと思って、加熱量をSinの2乗に比例させると14時にピークを持って来やすいみたい。まぁ、これは時間による差を広げているから当然なのかもしれない。だけど、そうすると24時間で一定の値に戻ってくるのが難しい(っていうか、無理そうだ)よねぇ?夜間も一定のエネルギーが補充されないといけないような感じ。
地球全体で見ると宇宙との温度差が重要なので確かに絶対温度に比例するんだろうけど、地球全体で見ると常に日光が当たっているということかも?そんなわけで、地球と宇宙の温度差よりも、地面と大気(というか、観測する場所とその上下層)の温度差が大切として(気温0度で地温5度なら5*定数で良いと思うので)、放熱量は摂氏温度に比例する・・・と設定したら上手く行ったような気がする。
どうだろう?
June 23rd, 2008 at 2:40
おお、2乗かあ。それ見落としてた。
そうやね、実際は地球内部でも大気の対流で熱が輸送されるから、周囲(緯度や経度の違い)との温度差が結構効いて来るんだろうなあ。定性的には簡単に説明できるけど、定量的に出そうとすると地球シミュレータとかが必要なのかもしらん。
実は、「ピーク時刻は季節によって変わるはずで、夏は15時とか16時まで気温が上がり続け、冬は逆に12時過ぎるとすぐに気温が下がりだす」てのを定性的には予想してるんだけど、証明するのは結構骨だな。
July 30th, 2008 at 20:48
確かに「なぜ1日の最高気温は正午じゃなくて14時頃になるのか」というのは、今まで当たり前のように思えてましたが言われてみると結構謎ですね。理系の私には熱の放出を流入を積分で考えるという説明は非常に分かりやすいなと思いました。ありがとうございます。一方で「なぜ夏至より8月の方が暑いのか」なのですが、本当に同じ原理なのでしょうか?というのも1日というスケールで見た時にピークの遅れが2時間ほど発生するというのは直感的に受け入れやすいのですが、流入が太陽光、放出が大気への熱放出という条件が変わらないのに”夏至”と”8月”ぐらいの遅れが発生するものなのかなと思いました。