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抗酸化サプリメントに効果が無い理由

written by nakanohito on

健康食品業界では抗酸化物質の効用が近年騒がれており、曰く、老化を防止する、動脈硬化を防止する、癌を予防する、などなど。ビタミンA/C/E, カテキンなどのポリフェノール類、リコピン、アントシアニンなどが抗酸化物質と呼ばれています。
これらの抗酸化物質は果たして本当に効果があるのか。Scientific American に掲載された Fact or Fiction: Antioxidant Supplements Will Help You Live Longer という記事が、興味深い回答を与えています。抗酸化物質を含む食物(主に野菜)は確かに健康に良いが、抗酸化物質サプリメントには効果が無い。さらにこの記事では、なぜサプリメントでは駄目なのかの理由まで考察を展開しています。

緑黄色野菜を多く食べる人は癌になりにくいがビタミンAサプリメントでは大差無い、という疫学的研究は、前世紀から知られています。その理由については、ビタミンA単独でなく野菜に含まれる他の成分と連携して働くためではないか、と推測されていました。

今回の Scientific American の記事では、イスラエルの Rambam Medical Center の Michael Aviram の研究を紹介しています。
Aviram はマウスを使った実験で、イチジクに含まれる抗酸化物質に動脈硬化を防止する効果があることを立証しました。しかし、やはり抗酸化物質であるビタミンEでは、そのような効果が見られなかったとのことです。
この実験から Aviram は、単独の抗酸化物質では極めて限定されたケースにしか効果が無いのではないか、と推測しています。老化にも癌にも動脈硬化にも効くような万能の抗酸化物質などというものはおそらく存在しないのでしょう。癌にしても、前立腺癌にだけとか、あるいはストレス由来の胃癌だけとか、極めて限定された対象にのみ効果を発揮するのだと予想されます。ただし、一つの野菜には数十から数百種類もの微妙に異なる抗酸化物質が含まれているのが普通です。その多くはまだ特定されておらず、化学式も精製方もわかっていません。しかしそういった未知の抗酸化物質がそれぞれ異なる領域に作用することで、全体として健康にプラスに働いている、と考えられます。
精製されたビタミンAだけを摂取しても、物凄くニッチな癌だけは予防しているけれど、統計上は誤差のうち、ということなのでしょう。

この考察が正しいとすると、野菜ジュースの効果も割り引いて考える必要があるかもしれません。
元の野菜と野菜ジュースを比較した場合、元の野菜には無数に含まれている抗酸化物質が野菜ジュースの中にどれぐらい残っているかは、まだ研究がありません。βカロチンやリコピンといったよく知られている抗酸化物質については含有量が表示されていますが、多くの抗酸化物質は化学式すら未知であり、研究のしようがないためです。さすがにサプリメントよりはマシだろうという気はしますが、あくまで直感的な推測です。

もちろん、一つの抗酸化物質の効果の幅には差があるでしょうから、単独のサプリメントでかなり幅広く効く、ということも可能性としては有り得るのかもしれません。ただし、そのような効果を疫学的研究で確かめた例を私は知りません。
例えば、食事で食べるトマトが癌を予防するという疫学的研究は結構ありますが、リコピン単独のサプリメントによる疫学調査は十分で無い、と認識しています。すでに前立腺癌にかかっている人の腫瘍増殖を抑えた という報告ぐらいではないでしょうか。逆に、膀胱癌と大腸癌については効果が認められなかったという研究ならあります。
にも関わらず、トマトに癌予防効果があった→リコピンのサプリメントでも効果があるはず、という安易な類推による広告宣伝が目立つ点には、苦言を呈しておきましょう。


2 Responses to “抗酸化サプリメントに効果が無い理由”

  1. trackback from 予防医学身体を守る予防医学

    予防医学と抗酸化栄養素…

    医学と医療の発達によって、治療技術や治療法はめざましい進歩を遂げましたが、その反面様々な環境汚染によって私たちの生活環境や食生活は汚染され、その結果現代人を脅かす生活習慣病にかかる危険性は増える一方です。ここ数十年の近代化による生活環境の変化によって私たちの体内で活性酸素が大量に発生しやすくなり、その結果深刻な病気を引き起こす原因となっています。予防医学の立場から考えると、病気になる前に活性酸素の害から体を守る事が大事であり、分子レベルで活性酸素の害から体を守り病気にかからな……

  2. trackback from 活性酸素を減らす生活

    活性酸素と生活習慣病…

    生活習慣病の発病の原因として、活性酸素が問題になっています。生活習慣病といえば、糖尿病や心臓病、癌、肝臓障害、脳血管障害、腎臓障害などが挙げられますが、特に関係が深い動脈硬化と糖尿病について深く掘り下げてみたいと思います。まず動脈硬化についてですが、動脈硬化は血管が細くもろくなってしまう病気で、血流が悪くなったり血管が破裂してしまう恐ろしいものです。これは血管の内壁に脂質や繊維やカルシウムなどが付着し蓄積しまう事により、血管自体が硬くなってしまう為に起こるのです。悪玉コレステ……

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