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Google が Typosquatting を奨励している

written by duke on

Google が Typosquatting から甘い汁を吸っている、との指摘が Google Blogoscoped で出ている。なかなかに興味深い。

もともとは、McAfee が詳細かつ克明な Typosquatting の現状についてのレポート を発表したことに端を発する。このレポート自体もたいへん読み応えがある。
まずは「typosquatting とは何か」についておさらいし、次にレポートの中でも特に面白い点を概説し、最後に typosquatting ビジネスモデルの中で Google が果たしている役割について解説しよう。

Typosquatting とは何か

Typosquatting とは、goo辞書 などを読んでいただければわかると思うが、著名サイトのドメイン名とよく似た、例えば一文字違いのドメイン名を登録し、タイプミスしたユーザがアクセスしてくることを期待する商売である。

Typosquatting が出始めた当初は、主に男性向けサイトに誘導するための手法としてよく使われていた。タイプミスで意図しないサイトにアクセスしてしまった場合でも、ある種の女性の魅力を伝えるような写真や動画がそのサイト上に表示されていた場合、魅力に抗し切れず見入ってしまう男性ユーザも少なくない。中にはわざわざ金を払って入会する男性もいるだろう。というビジネスモデルが、初期の Typosquatting だった。

ところが Google が AdSense をスタートさせたことにより状況は一変した。今や Typosquatting サイトの多くが、AdSense などの広告を貼り付けている。タイプミスによってアクセスしてきたユーザが AdSense をクリックすれば、そのサイトの持ち主に金が入る、というビジネスモデルが、現在の Typosquatting ビジネスモデルである。

McAfee によるレポート

McAfee は、著名なドメイン名2,771個について190万種類の誤字パターンを作成して実在するかどうかを調べ、その結果127,381個の typosquatting サイトを発見したという。このレポートはそれらを詳細に分析した結果である。

子供向けサイトが狙われやすいという結果などは興味深い。子供は誤字しやすいために狙われているのだろう。カテゴリ的にはゲーム関連サイトの typosquatting が多い。次は英語の苦手な日本人がターゲットになると私は予想している。

最近の Typosquatting の急増には、ドメイン登録に 5日間のお試し期間 が用意されたことが大きく関わっているらしい。既に、ドメイン購入申し込み→お試し期間中にAdSenseでセコく稼ぐ→お試し期間終了直前に解約、のプロセスを完全自動で行ってくれるツールが存在する。1サイトあたりの収入は5日間で$1にも満たないかもしれないが、完全自動で毎日数百サイトを作っては潰していくので、トータルでは毎日$100単位の収入になる、といった具合だ。コストはほぼゼロ。「これこそまさにロングテイル」とは McAfee の弁だ。

Google の役割

ここで Google の登場となる。

もともと Google は自分自身が著名サイトであるため、typosquatting のターゲットとなりやすく、こういった業者を相手に戦ってきていた。例えば 仲裁機関に働きかけてドメイン名を取り上げた といったニュースも伝わってきている。

ところがその他ならぬ Google が、裏では直接間接に typosquatting を手助けしていたと言うのだ。Google Blogoscoped の Philipp Lenssen はそう指摘する。

McAfee のレポートによると、typosquatting の標的となった企業に Google が AdSense 出稿を勧誘してくるすることがよくあるらしい。その AdSense は、他のサイトにも出てくるが、後述するメカニズムによって typosquatting サイトに特によく表示される。スペルミスで飛んできたユーザとしては、本当に行きたいサイトの AdSense があれば、当然それをクリックするだろう。Typosquatting 業者は儲かり、Google も AdSense 仲介手数料によって儲かる。

それどころか、Google は typosquatting 業者専用とも言うべき特別な AdSense プログラムを用意している。通常の AdSense は WWW サイトの本文中のテキストに対応する広告を表示するが、Google AdSense for domains と呼ばれる特別な AdSense ではドメイン名に対応した広告が表示される。例えば iohone.com サイトに表示される AdSense は iPhone 関連のものばかりである。最初からミスタイプに特化して作られているのは明白だろう。だいたい売り文句からして凄い。AdSense for domains allows domain name registrars and large domain name holders to unlock the value in their parked page inventory なのだが、「AdSense for domains はドメイン・レジストラならびに大量ドメイン保有者のための休眠ドメインをお金に換えるメソッドです」とでも訳せようか。

まとめ

以上見てきたように、Google は typosquatting ビジネス生態系の中で欠く事のできない地位を占めており、typosquatting から利益を上げており、そして typosquatting を奨励している。

Do No Evil という Google 創業時のモットーがもはやジョークにしか使われなくなってしまったのは周知のことだが、それにしても typosquatting を手助けしているという現状はいかがなものだろうか。もしこれが Google のビジネス姿勢として常態化しているのであれば、少し前に ultraviolet が騒いでいた 脳内メーカーで検索すると偽者のAdWords が出る件 も致し方ないように思えてくる。

追記

Google が Typosquatting から millions of dollars の利益を上げているという指摘は、昨年の段階ですでに Washington Post に記事が掲載されていた。ultraviolet が見つけてブックマーク していたようだが、見落としていた。こちらの記事も興味深い。

この記事によると、Typosquatting 批判に対して Google は「商標権の所有者から申告があれば AdSense 契約を取り消す、だから問題ない」と回答しているらしい。Typosquatting が商標権の侵害に当たることは認めつつも、「Typosquatting を検出することに技術上の困難がある」としているのが Google の主張だ。iohone.com 上に iPhone の広告を表示する技術があれば出来そうな気もするのだが (まさかこれらの AdSense 広告元がミスタイプ分全部のキーワードを買っているとも思えない)。いっそのこと社のモットーを Do No Evil (悪いことをするな) から Do Not Be Caught (悪いことをしても見つかるな) に変更するのはどうだろうか。
また Google は「AdSense for domains サービスは休眠中ドメインに情報価値を与える」とも主張している。本当に情報価値が付加されているかどうかは、実際に iohone.com などをご覧頂いた読者一人一人の判断に任せたいと思う。
とは言え、Google だけを責めるのも酷と言うものかもしれない。Yahoo も、Google ほど広く使われていないだけで、似たような Typosquatting 業者向けプログラムを用意しているのだから。

他にも、2005年中に全世界で3000万の.comドメインが新規に登録されたが、そのうち90%は5日間の試用期間のうちに解約されている、とも報告されている。6,600個のドメインを買って年間100万ドル以上の利益を上げることに成功したという Ron Jackson なる人物の証言もある。Typosquatting の世界というのは、なかなかに奥が深い。


One Response to “Google が Typosquatting を奨励している”

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