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従量課金しませんか

written by ultraviolet on

はてな日記で Internet の従量制課金についてちょろっと書いたので、その流れでもっと詳しい話をこっちに書いてみる。

YouTube みたいな映像配信サーバをデータセンタに置いてネットワーク接続しようとすると、データセンタ費用とは別に接続だけで結構なお値段を取られます。1Mbpsあたり数千~数万円。まじです。
これは実際それだけのお金がかかってるんです。ルータ代金、IXまでの専用線代金、IXのポート使用料、上位ISPからトランジットを買う料金、などなど。Tier 1 になればトランジット買わなくてよくなるけど、代わりに国際接続を自前で用意しなきゃいけないので、海底ケーブル費用とかがふりかかってくる。そういった諸々を計算すると、100Mbpsの接続を一ヶ月維持するのに、やっぱ十万円単位からの費用がかかるんですよ。
費用はISPの規模や効率性によって違ってきますが、例えば一例として TOKAI GROUP の BroadLine というデータセンタの接続料金表を見てみますと、1Mbpsあたり21万円というお値段になってます。うーん、ちょっとこれはボリすぎやね。安値で評判のさくらインターネットを見てみませうか。100Mbpsで月額42万円だそうです。まあこれぐらいならリーズナブルだな。このあたりの数字で以後の議論を進めるか。

ではなぜ日本のISPはBフレッツ100Mなんてメニューを(Bフレッツの回線料金を別にして)月額1000円とかいう馬鹿みたいな価格で提供できてるんでしょうか。それはずばり、ISP が馬鹿だったからです。とか言ってしまうと身も蓋もないか。
日本のISPはどこも、光接続のサービスが始まった当時って、「データセンタのサーバは24時間100Mの帯域をフルで使い倒すけど、家庭ユーザはほとんど使わないだろう」とタカをくくってたんですよ。当時の家庭ユーザの Internet 利用って、

  1. Webページをアクセスする
  2. するとアクセスした一瞬だけ100Mbpsのトラヒックが出るけど、ページのロードが数秒で終わればトラヒックは無くなる
  3. ユーザはWebページを数分かけて読む

という使い方をしてました。なので、回線は使われてない時間の方がずっと多くて、100Mbpsの回線でも平均すると100kbpsの単位でしか使われてなかったんです。100Mで40万円でも100kなら400円ですんじゃうかんね。「人間の処理速度で律速される」というのがこの考え方のミソです。
この使われ方がこの先もずっと続くと思ってしまったのがISPの馬鹿なところ。

では、バイト単価というものを計算してみましょうか。
100Mbpsの回線に24時間ずっと絶え間なく100Mbpsのトラヒックを流し続けると、100M×60秒×60分×24時間×30日=約259Tbit=32.4Tbyte のトラヒックになります。これで回線費用が月額40万円とすると、32.4テラバイトで40万円かかる計算です。ギガバイトあたりの単価を出すと、12.34円ですね。
つまり、1Gバイトのファイルを転送するたびに12.34円を課金すればトントン、ということになります。8.5GのDVD1枚を転送すると、だいたい100円になりますね。

今のみなさんの Internet の定額制での利用状況を考えてみてください。仮に月額1000円だったとしましょう。もちろんコストはネットワーク費以外にもいろいろありますが、だいたい4割がネットワーク費用だと根拠無く見積もってみましょうか。ってさっきの420円って数字に合わせただけですけど。400円だと、40G弱のファイルを毎月転送していればトントンということになります。もしあなたが毎月40G使っていなければ、あなたは損をしていることになります。その分 ISP が得をしてる。
逆もまた真で、あなたが毎月40Gを超えて使っていたら、ISP側が1Gごとに12.34円を損している計算になります。P2Pファイル共有とかでDVDを1枚共有するたびに100円です。あなたの使いすぎでISPに損をさせてるわけです。まあISPが馬鹿だってことなんですが。

しかしさすがにISPもいつまでも馬鹿じゃないので、最近になって「俺たち損してるんじゃね?」と気づいてしまいました。掲示板とかでP2Pユーザのレポートとか見てると、24時間10Mbpsのトラヒックを出し続けてる人もいるようです。一ヶ月で3.24テラバイト使う計算ですね。その1ユーザのためにISPは4万円の費用をかけている計算になります。そんな人が100人とかいれば、そりゃいくら馬鹿なISPも気づきますわな。ライトユーザによるISPの得は数百円ですが、ヘビーユーザによる損は数万円のオーダー。つまりこういうことになります。

  • ISP : 損してる
  • ライトユーザー : 損してる
  • ヘビーユーザ : 一人勝ち

ヘビーユーザがなんでこんなにトラヒックを吐けるかというと、Winny みたいなファイル共有ソフトって ユーザがPC使ってなくても他所からアクセスがあるたびにトラヒックが流れる からです。人間の処理速度で律速されないんですね。これはサーバとしての性質です。
これを別な言葉で言い換えると、P2Pプロトコルってのは、端末同士が直接通信するプロトコルと言うより、全ての端末がサーバになってしまうプロトコルである てなことになるかと。本来は、一番最初に書いたようなデータセンタのサーバ向け料金が適用されてしかるべきなんですよ。

じゃあどうするかっていう話はいろいろあるわけですが、日本のISPは「P2Pだけ帯域規制する」という方法を選びました。「P2Pなら帯域規制してもいい」とかいう法的根拠があるわけではないんですけど、「大量トラヒックを出してるユーザのほとんどはP2Pユーザである」という実態があるので、上述のような10Mbps級ユーザを狙い撃ちで100人規制すれば400万円節約できるわけです。

なんですけど、個人的な意見を言えば、「P2Pだけを帯域規制する」というのはやっぱ良くないと思うのですよ。そりゃ違法ファイル交換がはびこってるのは事実だけど、P2P自体が悪いわけじゃない。プロトコルの単位での規制というのはおかしい。それに、今はファイル交換が異常なトラヒック吐いてるけど、他のプロトコルでもトラヒック増えてきたらどうするの? 規制対象をがんがん増やしてくの?
やっぱり一番いいのは、かかってるコストに応じて費用を負担する、つまり従量課金するのが筋ってもんでしょう。自分の流すトラヒックには責任もって金払ってもらうと。おそらくP2Pファイル交換してないユーザのほとんどは今より料金が下がります。ネットサーフだけなら一ヶ月に40Gも使わないですから。その方が大半のユーザにとって朗報になる。

動画配信みたいな新しいビジネスにとって従量課金が足かせになる、って話はよく言われるんですが、どうだね、YouTube のビデオ1本100Mbyteを見たとしてたったの1.2円だよ。携帯メール1本のパケット代より安い。まあ仮定の数字なのでほんとはちょっと違うかもしれんけど、そんなに大きく間違ってる数字じゃないと思うんだけどなー。
逆に言うと、動画配信なんか目じゃないぐらいとんでもない帯域を使ってるウルトラヘビーユーザってのが、P2Pファイル共有の人たちなんです。それは何とかせんといかんぢゃろよ。でも「P2P禁止」ってのは私は好きじゃない。ただ単に「使った分だけ金を払えばいいんじゃない?」が私の考え方です。

もちろん今すぐ従量課金に移行できるかっていうと、解決しなきゃならん問題もいろいろあります。その問題に今から着手して将来の移行を目指す、ってのが良いと思うんだが。どんな問題があるかはまた別途。


3 Responses to “従量課金しませんか”

  1. comment from eman

    許容転送量を設けたプランをいくつか用意すればよくね?

  2. comment from itochan

    一定の上限を超えたら従量制 がいいと思います。
    ダイアルアップの時代はそうでした(単位は時間だけど)

  3. pingback from Rauru Blog » Blog Archive » 従量課金しましょうよ

    [...] 以前 従量課金しませんか [...]

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