slashdot.org で知ったのだが、Google が Network Node Ad Targeting と題する特許を2006年暮れに出願していたようだ。簡単に言うならば、人間関係を元に広告を打つ特許である。
Abstract は以下のように記されている。
A computer-implemented method for displaying advertisements to members of a network comprises identifying one or more communities of members, identifying one or more influencers in the one or more communities, and placing one or more advertisements at the profiles of one or more members in the identified one or more communities.
特許文体なのでこれを読んでも何の役に立つのかわかりにくいが、slashdot での議論を読んで考えるに、どうもこういうことらしい。
- どのユーザがどのコミュニティに属しているかを識別する
- そのコミュニティの面々に影響を与える重要ユーザ(Influencer)を識別する
- Influence の profile ページに集中して広告を打つことで、コミュニティ全体への広告浸透を狙う
例えば、メンバの大半が特定のジャンルの音楽を好むようなコミュニティがあり、かつそのコミュニティのリーダーと言うか影響力の強いユーザがいた場合、その影響力の強いユーザの profile ページにそのジャンルの音楽の広告を集中して表示する、といった使い方が想定されているようだ。
コミュニティの識別、コミュニティメンバの好む対象の識別、それに重要ユーザの識別は、いずれもリンクを集計することによって行うと特許中には記述されている。コミュニティの構成は絶えず変化しているため、それに追随できるアルゴリズムが必要となるが、Google お得意の Pagerank 集計のような手法で行うのだろう。
この集計のためのデータを取ってくる手法として、特許では単に WWW ページ間のリンクを取るかのような書き方がされて細部はぼかされているが、実際に行われるだろう効果的な方法はいくつも考えられる。
最も簡単なのは SNS だろう。Facebook や mixi の個人の profile ページには、友人関係のデータや興味対象について情報が詰まっている。ただし Facebook も mixi も、SNS にログインしなければそうしたデータが見えず、Googlebot で拾えない状況にある。昨年から Google は Facebook に対抗して SNS 分野に攻勢をかけつつあるが (例えば OpenSocial など)、それと符合する話である。
それと並行する話として、Googlebot で拾えるような場所に友人関係データや興味対象を書いてくれると有り難い、という話もある。XFN なら自分の友達を記述できるし、FOAF なら foaf:interest 属性などで興味の対象まで記述できる。個々のユーザがそういったものを書いておけば、Google はそれを拾ってコミュニティを識別し、Influencer を検出できるだろう。今年2月に公開された Social Graph API も、ひょっとしたらそうした研究に付随する成果なのかもしれない。
あるいは、既存のソーシャル系サービスを使うのも手である。例えば Twitter におけるユーザクラスタの検出 が少し前に話題になったが、あれなどはまさにこの特許の目指しているものではないかと思える。クラスタ内で Favorites を集めているユーザは Influencer である可能性が高い。
例えば、携帯電話クラスタ 内で favorites の多いユーザの profile に iPhone の広告を載せれば、iPhone に興味の無い ultraviolet も iPhone を買う気になるかもしれない。表示する広告はこんなものがいいだろう。「iPhone なら 裏蓋が無くなる こともありません」
唯一疑問に思う点として、Twitter や SNS で、自分と同じコミュニティに属する友達の profile ページをそんなに毎回見るものだろうか、との疑問はある。私の感覚からすると、profile ページとは初対面の相手に対して情報を与えるためのものであって、一旦友達になってしまったらあまり見る必要も無いのでは、と思える。ただし Facebook だと、友達にならなければ profile ページを見ることすらできないような設定もあるため、世の中の人は私が思うより遥かに頻繁に友達の profile ページを眺めているのかもしれない。
いずれにせよ、今回のこの特許からは、Google が「ユーザ間の人間関係をマネタイズする」べく着々と手を打っていたとわかる。ultraviolet が Social Graph の話 の中で予想したとおりである。
slashdot では FriendRank という言葉を使ってこの状況を少し意地悪く表現している。特許の中では「Influencer が自分の profile 中に広告を許可のための金銭的インセンティブ」についての言及があるが、これは要するに「コミュニティ内での影響力が強い人ほど AdSense 単価も高くなる」ようなシステムのことだろう。影響力の強さを FriendRank と表現しているわけだ。
数年後の AdSense 界隈では、Influence Optimization などと言って自分の FriendRank を高めるためのテクニックが流行るのかもしれない。